50歳から楽しむマスターズ陸上

マスターズ陸上(M50 100m)を楽しむ。日々の練習日誌や雑感を書き残します。

2022年全日本マスターズ陸上競技選手権中止

 

■突然の中止決定

 

2022年9月23日(金・祝)から25日(日)の3日間、福井県の9.98スタジアムで開催が予定されていた、第43回全日本マスターズ陸上競技選手権大会が中止になった。

 

発表があったのは3月19日。

全国一斉にコロナ感染蔓延防止等重点措置が解除される2日前のことだ。

Twitterのタイムラインを見ていたところ突然「全日本中止」との情報が流れてきた。

前々日の17日に2022年度のマスターズ登録を郵送し終え、全日本マスターズを目標に頑張ろう!と思った矢先での中止決定。

おいおい、ウソだろ…と。

 

主催の福井マスターズ陸上連名の文書によれば、

コロナウイルス感染症の感染者数減少の傾向もみられないため」

と中止の理由が書かれている。

 

https://cdn.goope.jp/6322/220319224950-6235df7e6b8d3.pdf

 

しかし実際には、オミクロン株における全国での感染者数は2月3日の104,345人から徐々に「減少傾向」にあり、中止の発表があった3月19日の感染者は44,593人とピーク時の43%程度である。しかも21日には"マンボウ"の全面解除。開催の福井県についてみると、全国よりもピークが遅く3月7日の559名が最多であったが、19日は194名(ピーク時の34.7%)と減少している。

「感染者数減少傾向が見られない」という説明では簡単に納得はできない。

 

 

■このままでは来年もその先も開催できない

 

マスターズ陸上は、重症化リスクが高いと言われる高齢者も参加するため、他のスポーツイベントとは事情が異なるのでは、との意見もあるとは思うが、スポーツイベント(特に陸上競技のような屋外競技)を中止にしたからと言って感染拡大の抑止に繋がるというエビデンスはどこにもない。

 

2021年度も、全カテゴリー(小中学、高校、大学、一般、マスターズ)でコロナを理由に大会中止や規模縮小、無観客開催などの措置がなされた。大会実施中も検温の実施、手指の消毒、マスクの着用、着席時の間隔確保、声をあげての応援の禁止などが細かく設定され、(一部の不心得者が声を上げて応援していたようだが…)皆、その決まりを励行している。

 

その結果、試合開催が原因のクラスターは一件も発生していない。

というか、開催基準を守っていれば濃厚接触者の定義に当てはまりようがないのでクラスター認定はなされることはない。

 

濃厚接触者の考え方について - 埼玉県

 

よって、「これまでの大会開催方式で開催できる」と判断するのが当然だろう。

しかし、「感染症の減少傾向が見られない」ということで開催の半年も前に「中止」が決定がなされた。非常に残念だ。

 

とはいうものの、主催の福井マスターズ連盟の関係者の皆さんで様々議論があったとは思う。2020年度、2021年度の全国大会は中止となり、2022年こそは開催しようという気持ちは、早くから各都道府県に大会ポスターが配布されていることからも感じられた。(静岡では2月ごろから掲示されている)

福井マスターズの皆さんは、「なんとしてでも開催したい」という想いで努力していただいていたはずである。

 

ただ、実際に開催しようとすると、

「オミクロン株は減少しても、また新しい変異株が流行るかもしれない」

「エントリーを受付してから直前で中止になったらどうする」

「高齢者を全国から集めて行うイベントでの万が一の感染があったら」

…など、考え始めたら開催リスクへの不安妄想が膨らむ。

主催者が「開催したいけど、開催できない」という判断をするのも納得はできないが理解はできる。

 

しかし、これからもコロナ感染症が無くなることはないわけで、このままでは来年もその先も開催できないということになる。

 

中止判断の基準を細かく明確にし、中止の場合も余計な事務処理を発生させないために参加者へ中止のリスク(エントリー料の返金無し)を周知するなど、大会規約を変更すれば、少なくとも大会の半年も前に「大会中止」の判断をすることはなくなるのではないか。

ネガティブな可能性に振り回されるのではなく、ポジティブな可能性に向かえるような体制を作り、次こそは開催できるようになってほしい。

 

 

■この機会に全国マスターズが抱える課題の解消を

コロナ感染症については、感染症分類を五類に変更してインフルエンザと同じ扱いに変更するべきなど、個人的にはいろいろ思うところもあるが、それは置いておくとして、今回の大会中止についての全国マスターズ陸上競技連合のコメントに気になる点があった。

 

japan-masters.or.jp

 

コメントにはこう書かれている。

『来年度以降につきましては、肥大化した競技運営体制を見直し、新しい形での開催ができないか考えております。』

 

前回の記事で書いたが、全国マスターズは「エントリーすればだれでも出られる全国大会」なので、私のような学生時代に全国大会にでられなかった者からすると、あこがれの「全国大会」に気軽にでられる貴重なイベントである。

また、マスターズ陸上の認知度向上もあって、近年、参加者がすごい勢いで増加している。数年前の大会では、ホームの直線とバックの直線で同時進行(ホーム側はM40、バック側はM65など)で100mを走っていた。ついには3日間で競技がやりきれなくなり、一部の種目(60mなど)は年齢制限が掛かってしまっている。

さらに、マスターズ陸上は『18歳以上であればだれでも参加できる』という理念を掲げていることから、若い年代の参加者も増え、もはや「マスターズと一般競技者の線引き」がどこにあるのかよくわからない状況にもなっており、全国大会の運営がますます混乱しているのも問題だ。

 

 

生涯スポーツの発展に寄与するという、マスターズ陸上の本旨からすると難しいのかもしれないが、コロナや肥大化した大会運営の状況を解消するためには、オリンピックのような参加標準記録の設定や各都道府県マスターズ大会での上位者などの参加資格の設定をするなども仕方ないように思う。

 

2022年度の大会中止は非常に残念だが、この機会を活かして全国マスターズの在り方を検討していただきたい。